不動産を購入、相続したら、その評価額を知ることが重要です。特に、相続税や贈与税の計算では、国税庁が定める「路線価」が用いられます。しかし、路線価は一般的に馴染みのない言葉で、どのように調べて計算するのか分からない方も多いでしょう。
本記事では、路線価の基本的な概要から、評価額の算出方法、計算時の注意点まで詳しく解説していきます。
路線価とは?
路線価とは、道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額を示したもので、国税庁が毎年公表しています。相続税や贈与税の計算に使用され、主に市街地の土地評価に適用されます。
路線価は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認可能です。
なお、路線価が設定されていない地域では、「倍率方式」を用いて評価額を算出します。
路線価の計算方法
土地の評価額を求める際には、路線価を基準に計算を行います。正しく評価額を算出するために、路線価図の見方や計算方法を理解しておきましょう。
路線価図の見方
路線価図には、対象の土地が接する道路ごとに評価額が千円単位で記載されています。例えば、「150A」と表示されている場合、その道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額は15万円です。
また、路線価の右側にはアルファベットが記載されています。これは「借地権割合」を示し、土地を借りている場合の評価額を算出する際に用います。例えば、「150D」と表示されている場合、評価額は15万円であり、借地権割合は60%(D)となります。
路線価方式による評価額の計算
市街地にある土地は、路線価方式を用いて評価します。基本的な計算式は以下のとおりです。
計算式:路線価×土地の面積=評価額
例えば、路線価が10万円、面積が250平方メートルの場合、評価額は以下のように算出されます。
10万円 × 250平方メートル = 2,500万円
なお、二方道路に接している土地は、それぞれの路線価を考慮し、補正を適用して評価額を算出します。
路線価の補正
土地の形状や利用状況によっては、評価額に補正を加える必要があります。以下のような補正が代表的です。
- 奥行価格補正:奥行きが極端に長い、または短い場合に適用
- 不整形地補正:形が整っていない土地に適用
- 間口狭小補正:道路に接する部分が狭い土地に適用
- 規模格差補正:極端に広い土地に適用
- がけ地補正:一部が崖になっている土地に適用
また、利便性が高い土地には、加算補正が適用される場合があります。
- 側方路線影響加算:角地に適用
- 二方路線影響加算:正面と裏面が道路に接している土地に適用
これらの補正率は国税庁の路線価図に記載されており、評価額を求める際には正しく適用する必要があります。
路線価と実勢価格の違い
路線価は相続税や贈与税の計算を目的として定められているため、市場での売買価格(実勢価格)とは異なる場合があります。実勢価格の目安としては、一般的に路線価の1.2~1.5倍程度といわれています。
また、公示価格や基準地価、固定資産税評価額など、異なる公的評価額が存在するため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
路線価が活用される場面
路線価は、相続税や贈与税の申告時に必要となるほか、以下のような場面でも活用されます。
- 不動産の売買:路線価を参考に価格を決定
- 税務調査:相続税申告時に適正な評価額であるかを確認
- 資産管理:所有する土地の評価額を把握
特に、相続税の申告では、正しく計算しないと税額が大きく変わるため、慎重な対応が求められます。
路線価の調べ方
路線価は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」から無料で閲覧できます。また、一般財団法人資産評価システム研究センターが提供する「全国地価マップ」でも、公示価格や基準地価と併せて確認できます。
国税庁のホームページでは、都道府県別に検索し、評価したい土地の住所を選択することで、該当する路線価を確認できます。

(出典:国税庁「路線価 – 国税庁」https://www.rosenka.nta.go.jp/)
路線価の計算における注意点
路線価を用いた計算では、補正率の適用や土地の形状による影響を考慮する必要があります。特に、以下の点には注意しましょう。
- 補正率の適用ミス:奥行や間口の条件によって異なるため、慎重に確認
- 倍率方式の適用範囲:路線価が設定されていない地域では倍率方式を使用
- 評価額の見落とし:借地権割合や加算補正など、必要な補正を適用
また、誤った計算を行うと、相続税の申告で過少申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。不動産の評価に不安がある場合は、専門家に相談した方がいいでしょう。
まとめ|路線価は正しい知識を持って計算しよう
正しい評価額を求めるには、路線価を使った正しい計算方法を理解し、必要な補正を適用する必要があります。
特に、土地の形状や利用状況によって評価額が大きく変わるため、計算ミスがないよう注意しましょう。相続税申告が必要な場合や、評価額の算出が難しい場合は、相続税に精通した税理士に相談することをおすすめします。
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