「被相続人」や「法定相続人」といった専門用語は、相続を経験したことがない方にとっては馴染みが薄いかもしれません。
本記事では、相続の際によく使われる「被相続人」「法定相続人」などの用語の説明から、「相続の優先順位」や「相続割合(財産の分け方)」について詳しく説明します。
相続の基本ルールをしっかりと理解し、ご自身やご家族の相続手続きに役立ててください。
「被相続人」と「相続人」とは?
亡くなった方のことを「被相続人」と言います。
被相続人が遺した財産を相続する権利を持つ人のことを「相続人」と呼びます。
相続人となれるのは、民法に定められた範囲の人のみです。法的に相続権のない人は、原則として遺産を受け取ることはできません。そのため、被相続人との続柄を正しく理解しておくことが重要です。
よく使われる相続の専門用語
・法定相続人
民法に定められた「法的に相続する権利を有する人」のことを指します。
・推定相続人
まだ相続が発生していない段階で、相続人になると考えられる人のことを指します。つまり、被相続人が存命中に、相続の権利があると想定される人のことです。
・特定受遺者
遺言書に「○○の土地」や「○○銀行の預金口座」など、具体的に記載された財産を受け取る人のことを指します。
・包括受遺者
遺言によって、相続財産の全部、または「2分の1」「3分の1」といった一定の割合で財産を受け取る人のことを指します。
相続の優先順位とは?
相続が発生すると、財産を受け取ることができる人(相続人)は、被相続人との続柄によって優先順位が決まります。この優先順位に基づき、誰がどのくらいの割合で財産を相続するのかが決まるため、事前に理解しておくことが重要です。
ここでは、民法で定められた「相続の優先順位」と「相続の割合」について詳しく解説します。相続の優先順位は第1順位から第3順位まであり、順位によって相続分の配分が異なるため注意が必要です。
①配偶者は必ず相続人になる
・被相続人の配偶者(夫または妻)は、必ず相続権を持ちます。
・ただし、法的に婚姻関係がある場合に限られ、内縁関係や事実婚のパートナーには相続権がありません。
配偶者は常に相続人となりますが、その相続割合は他の相続人の有無によって変わります。
②配偶者以外の相続優先順位
配偶者以外の相続人には、次のような優先順位が決められています。

第1順位:子(直系卑属)
第2順位:親(直系尊属)(子がいない場合)
第3順位:兄弟姉妹(子も親もいない場合)
相続順位のポイント
順位の高い相続人がいる場合、下位の相続人には相続権が発生しません。
例えば、被相続人に子どもがいる場合、親や兄弟姉妹は相続人になれません。
もし子どもがすでに亡くなっている場合、その子(被相続人の孫)が代わりに相続します(代襲相続)。
相続優先順位に応じた具体的な財産の分配は、以下のようになります。

第1順位:配偶者+子
配偶者:2分の1
子:2分の1(子が複数いる場合は均等に分割)
第2順位:配偶者+親(子がいない場合)
配偶者:3分の2
親:3分の1(両親が健在の場合はさらに2分の1ずつに分割)
第3順位:配偶者+兄弟姉妹(子も親もいない場合)
配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合は均等に分割)
相続の優先順位と相続割合を正しく理解することで、円滑な遺産分割が可能になります。特に、配偶者以外の相続人の順位や割合については、事前に確認しておくと安心です。
相続に関するよくある質問とその回答
相続に関しては、さまざまな疑問やケースが考えられます。
ここでは、よくある相続に関する質問を3つ取り上げ、それぞれのケースについて詳しく解説します。
遺産分割協議で相続順位を変えられる?
相続順位は民法で決められており、遺産分割協議で変更することはできません。
ただし、相続割合は相続人全員の合意があれば変更可能です。法定相続分とは異なる配分にする場合は、全員の同意が必要となります。
遺言がある場合、相続順位は変わる?
遺言は法定相続より優先されるため、特定の相続人に多くの財産を譲ることができます。
ただし、法定相続人には最低限の取り分(遺留分)が認められており、遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。遺言を作成する際は、トラブルを避けるためにも遺留分を考慮することが重要です。
離婚した元配偶者に相続権はある?
元妻・元夫は法定相続人にはなりません。
ただし、離婚後も子どもとの親子関係は存続するため、子どもは相続権を持ちます。
そのため、被相続人の財産は元配偶者ではなく、子どもが相続することになります。
おわりに:相続の優先順位と相続の割合を正しく理解しましょう
本記事では、被相続人と相続人の続柄によって決まる「相続の優先順位」と「相続の割合」について解説しました。
相続を受ける順位、配分は、被相続人との関係によって大きく異なります。そのため、自身や家族の相続について、事前に確認しておくことが大切です。
また、相続順位が低く法定相続人になれない人に財産を遺したい場合は、遺言書を作成し、遺贈の意思を明記する必要があるため、注意が必要です。
自分の家庭環境を踏まえて適切な対策を考え、遺言書の作成が必要な場合は、早めに準備することで、円滑な相続手続きを進めることができます。
そうぞくんは、相続税の申告書を簡単に作成することができるWEBサービスです。
相続税対策や遺言書の作成など、もし相続税に関して不安なことや疑問などございましたら、サイト内から専門家(税理士、弁護士、不動産鑑定士など)にご相談いただくことが可能です。
是非、ご利用ください。
