預金や土地、株式などの財産を贈与された場合、贈与税を支払う必要があります。この記事では、贈与税の基本的な説明から、納付書の書き方、納付方法まで詳しく解説します。
贈与税とは
贈与税は、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金です。「財産」には現金だけでなく、車や土地、株式、権利などの経済的価値があるものも含まれます。また、無条件で借金を帳消しにしてもらった場合も贈与税の対象になります。
しかし、日常的な生活費の受け渡しなど、すべてに贈与税がかかるわけではありません。贈与税には110万円の基礎控除があり、毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた額が110万円以下であれば、贈与税は免除されます。
その他、以下のように贈与税が発生しない場合もあります。
1.法人など、個人以外からの贈与(一般的に所得税の対象)
2.香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
3.夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
4.住宅購入資金や結婚・子育て資金、教育資金などの特例を利用する場合(別途非課税枠あり)
5.相続時精算課税制度を利用する場合(別途非課税枠あり)
贈与税の納付書の入手方法
申告先の税務署の窓口
税務署の窓口での入手が一般的な方法です。全国どこの税務署でも納付書は入手できますが、記入する際に税務署名や税務署番号などの訂正が必要になることがあります。特に理由がない限り、申告する税務署で納付書を受け取る方法が良いでしょう。
納付書を受け取った後は、必要事項を記入し、現金を持参して窓口で納付することができます。しかし、税務署では口座からの納付ができないため、高額な場合は多額の現金を持ち歩く必要があります。現金以外での納付を希望する場合や、高額な納付が必要な場合には、他の方法を検討することをお勧めします。
申告先の税務署は、贈与を受けた人の住所を管轄する税務署です。どの税務署に行けばよいか分からない場合は、国税庁のホームページで確認できますので、事前に調べておくと良いでしょう。
参考:国税庁サイト『国税局・税務署を調べる』
金融機関の窓口
銀行や郵便局などの金融機関の窓口でも納付書を入手することができます。ただし、金融機関によっては納付書の在庫がない場合もあるため、窓口に行く前に電話で確認しておくと安心です。
金融機関では、納付書をもとに納付が可能です。税務署では現金のみの納付ですが、金融機関では口座から直接納付することもできます。現金を持ち歩きたくない方や、あらかじめ現金を引き出すのが面倒な方には、金融機関での納付が便利です。
なお、金融機関で納付する際は、納付書の他に「税金・公共料金納付依頼書」など、金融機関が指定する書類を提出する必要があります。
贈与税の納付書の書き方
贈与税の納付書の書き方について、ステップごとに説明します。
年度・税目番号・税目
「年度」には、贈与税を納付する対象となる年度を記入します。贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産に対して課税されます。申告はその翌年の2月1日から3月15日までに行うため、通常は財産を受け取った年を記入すれば、納付する年度になるので問題ありません。
ただし、過去の贈与税を期限後に申告する場合は、実際に納付する年度を記入します。税務署の会計年度は4月1日から翌年3月31日までの期間です。たとえば、令和3年に贈与を受け、令和6年に申告する場合は「令和5年度」と記入します。
次に、税目番号に「051」、税目に「贈与税」と記入します。年度や税目番号が既に印字されている場合は、そのままで問題ありません。異なる年度や番号が記載されている場合は、二重線で訂正し、正しい内容を記入すれば問題ありません。
税務署名・税務署番号
「税務署名」と「税務署番号」には、申告をする人の住所地を管轄する税務署の名前と番号を記入します。申告先の税務署で納付書を入手する場合は、すでに印字されていますので、特に記入する必要はありません。ただし、異なる地域の税務署で納付書を入手した場合などは、印字を二重線で消し、正しい税務署名と税務署番号を記入する必要があります。
納期等の区分
「納期等の区分」には、贈与を受けた年を記入します。「自」と「至」にはそれぞれ年月日を記入する欄がありますが、贈与税は年間の合計を申告するため、日付の記入は不要です。上段の「自」の欄に、年のみを記入します。
「申告区分」では、期限内に申告する場合は「4確定申告」を選択します。修正申告の場合は「5修正申告」に丸をつけましょう。
本税・合計額
「本税」および「合計額」には、贈与税の納付額を記入します。右詰めで金額を記入しますが、「合計額」には数字の先頭部分に「¥」マークを記入する必要があります。
数字を間違えた場合は、納付書のほとんどの欄は二重線で訂正できますが、「合計額」の欄は訂正できません。書き損じた場合は、新しく納付書を作成する必要がありますので、納付額を確認のうえ記入しましょう。期限内に申告する場合は、「重加算税」「加算税」「利子税」「延滞税」などの欄は空欄で問題ありません。
住所・氏名・電話番号
「住所」「氏名」「電話番号」には、贈与税を申告する人の住所、氏名、電話番号を記入します。氏名のふりがなも忘れずに記入しましょう。
整理番号は記入不要
整理番号は、税務署が納税者を管理するために割り振る番号で、所得税の確定申告書などに記載されています。贈与税の申告では、整理番号の記入は不要です。記入しないことで訂正の手間が省けますので、分からない場合は空欄のままで問題ありません。
納付書を使用しなくてもできる納付方法
ダイレクト納付
ダイレクト納付とは、国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用して電子データで申告後、指定の口座から電子納付する方法です。申告者の預貯金口座から直接納付額が引き落とされるため、金融機関や税務署に行く必要がありません。
ただし、ダイレクト納付を利用するには、事前にe-Taxの利用開始手続きや専用の届出書を作成する必要があります。これらの手続きには1ヶ月ほどの準備期間がかかるため、余裕を持って手続きを始めることが重要です。
インターネットバンキング
インターネットバンキングを利用して贈与税を電子納付する方法もあります。この方法もe-Taxの利用開始手続きが必要で、ダイレクト納付と同様に時間に余裕を持って準備することをおすすめします。インターネットバンキングに口座を持っていない場合は、口座開設も必要です。
【参考】国税庁『インターネットバンキング等からの納付手続』
クレジットカード
クレジットカードによる納付は、e-Taxを利用していない方に適しています。専用サイト「国税クレジットカードお支払サイト」から申請でき、分割払いも選択可能です。支払額が大きく一括での支払いが難しい場合や、e-Taxの利用手続きが面倒な場合に便利です。ただし、一度の操作で納付できる金額は1,000万円未満かつ、カードの決済可能額以内と制限があります。
また、クレジットカード納付には、税額1万円ごとに83円〜84円の決済手数料がかかります。さらに、分割払いを選ぶと、別途手数料が発生する場合がありますので、他の方法と比較して支払額がやや高くなる可能性があります。
【参考】国税庁『クレジットカード納付の手続』
コンビニエンスストア
国税庁のホームページで情報を入力し、専用のQRコードを作成することで、コンビニエンスストアで贈与税を納付することができます。QRコードをキオスク端末で読み取らせてバーコードを出力し、レジで支払うことができます。
ただし、コンビニエンスストアでの納付は上限が30万円で、現金のみでの支払いとなります。手数料はかからず、手軽に納付できる方法ですが、納付金額が大きい場合や、多額の現金を持ち歩きたくない場合には別の方法の方がよいでしょう。
【参考】国税庁『コンビニ納付(QRコード)』
贈与税の納付期限
贈与税の納付期限は、贈与された年の翌年3月15日までです。
具体的には、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産について、翌年の2月1日から3月15日の間に申告し、納付を行う必要があります。
期限までの納付が難しい場合は?
贈与税の納付期限を過ぎると、延滞税が発生します。延滞税の額は、延滞した日数に応じて変動するため、できるだけ早く納付する方が良いでしょう。また、申告書の提出が遅れたり、過小に申告をしたりした場合には、加算税が発生することもありますので注意が必要です。
もし、納税額が大きく、一度に納付するのが難しい場合には、条件により最長5年間の分割納付が認められることもあります。ただし、分割納付には利子税がかかり、通常の納付方法よりも割高になるため、余裕を持って納付計画を立てることが重要です。
おわりに:納付の方法は選択肢があるので、自分に合う方法で!
納付書を使用する方法では、税務署での手続きが基本です。一方、電子納付やコンビニエンスストアでの納付も便利になってきています。
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