生前対策

相続の準備は何から始める?親が元気なうちにやることをチェックリストで解説

相続の準備は何から始める?親が元気なうちにやることチェックリストを紹介する家族の話し合いのイメージ 生前対策

「親も高齢になってきたので、そろそろ相続の準備をした方がいいのでは?」そう思っていても、「何から話せばいいかわからない」「財産のことを聞くのは失礼な気がする」「相続税がかかる家庭なのかわからない」「まだ元気なのに遺言の話をするのは早いのでは?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

相続の準備は、亡くなる直前にまとめて行う必要はありません。むしろ、親が元気で、自分の意思で財産や今後の希望を考えられるうちに、できることから少しずつ整理しておくことが大切です。この記事では、親が元気なうちに家族で確認しておきたい相続準備を、実際に取り組みやすい順番で解説します。

相続の準備は親が元気なうちに始めよう

相続準備というと、「遺言書を書く」「生前贈与をする」「相続税対策をする」といった具体的な対策をイメージするかもしれません。しかし、最初から対策方法を決める必要はありません。
まず必要なのは、今の家族と財産の状況を把握することです。
どのような財産があり、将来誰が相続人になりそうなのかがわからなければ、自分の家庭にどのような準備が必要なのかも判断できません。そのため、家族で話す、財産を把握する、相続人を確認する、相続税の目安を確認する、財産の分け方を考える、必要な対策を検討する、情報を形に残す、という順番で進めていくと整理しやすくなります。

相続準備は親が元気なうちに、家族や財産を確認しながら進める流れを示した図

相続準備は、「何をするか」を決める前に、まず今の状況を見える形にするところから始まります。家族や財産について整理してみたい方は、「そうぞくん生前対策」で一つずつ確認できます:https://souzokun.com/seizen/

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親が元気なうちに相続準備をするメリット

親自身の希望を確認できる

相続で重要なのは、財産を持っている本人がどのように考えているかです。たとえば、「自宅は長男に残したい」「預金は子どもたちで公平に分けてほしい」「配偶者の生活資金を優先したい」「この土地だけは売らずに残してほしい」など、本人にしかわからない希望があります。元気なうちであれば、その希望を家族と話し合ったうえで、必要に応じて遺言書などに残すことができます。

財産を本人に確認できる

相続が発生してから初めて財産を調べ始めると、「どこの銀行に口座があるかわからない」「ネット証券を利用していたようだが詳細がわからない」「生命保険に入っているのかわからない」「不動産の権利関係がわからない」といった問題が起こることがあります。親が元気なうちなら、本人に確認しながら整理できます。これは相続税対策以前に、家族にとって大きなメリットです。

相続財産として預貯金、不動産、株式・投資信託、生命保険、借入金を整理するイメージ

必要な対策を検討する時間を確保できる

財産を整理した結果、相続税が発生しそう、不動産ばかりで現金が少ない、特定の子どもに自宅を残したい、相続人間で財産を分けにくい、将来の財産管理に不安があるといった問題が見つかることがあります。早めに把握できれば、その問題について家族で話したり、必要に応じて専門家に相談したりする時間を取れます。

親が元気なうちに確認しておきたい相続準備

ここからは、具体的に確認しておきたい項目を順番に見ていきます。すべてを一度に終わらせる必要はないため、確認しやすいものから少しずつ進めましょう。

家族構成を整理する

最初に、親を中心とした家族関係を整理しましょう。確認したいのは、配偶者、子ども、すでに亡くなっている子ども、孫、養子、前婚の子ども、兄弟姉妹などです。誰が法定相続人になるかは家族構成によって異なり、たとえば子どもがいる場合と、子どもがおらず兄弟姉妹がいる場合では相続人になる人が変わります。家族関係が複雑な場合には、戸籍などで確認しましょう。

「自分の家族の場合、誰が相続人になる?」と迷ったときは、こちらの記事で相続順位を確認できます。

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預貯金を整理する

親が利用している金融機関を確認します。最低限、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、おおよその残高などを整理しておくとよいでしょう。通帳がある銀行だけでなく、ネット銀行、定期預金、外貨預金などについても確認します。ただし、暗証番号やインターネットバンキングのパスワードそのものを、誰でも見られる場所へ記載することは避けましょう。重要なのは、どこに財産があるかわかる状態にすることです。

不動産を確認する

自宅や土地、賃貸物件などを所有している場合は、不動産についても整理します。確認しておきたいのは、所在地、土地・建物の種類、名義、共有者の有無、利用状況、借入金の有無などです。特に昔から所有している土地については、家族が存在を知らないケースもあります。固定資産税の課税明細書や登記事項証明書などを手掛かりに確認しておくとよいでしょう。

株式・投資信託などの金融資産を確認する

証券会社を利用している場合には、上場株式、投資信託、国債・社債などの金融商品も確認します。最近は取引をオンラインだけで行っていることもあり、家族が証券口座の存在に気付かない可能性があります。少なくとも、どの証券会社を利用しているかは整理しておきましょう。

生命保険を確認する

親が加入している生命保険についても確認します。確認したいのは、保険会社、契約者、被保険者、保険料負担者、死亡保険金の受取人、おおよその保険金額などです。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取る場合などには、一定の要件のもとで500万円×法定相続人の数まで相続税の非課税限度額が設けられています。ただし、契約関係によって課税される税金が異なるため、「生命保険なら必ず相続税の非課税枠が使える」と判断しないようにしましょう。

借入金やローンを確認する

相続では、プラスの財産だけでなく債務も重要です。住宅ローン、アパートローン、事業借入、その他の借入金などがないか確認します。特に事業をしている親の場合には、個人名義の借入と法人名義の借入を区別して整理することが重要です。「財産はいくらあるか」だけでなく、返済しなければならないものはいくらあるかも合わせて確認しましょう。

財産目録を作る

ここまで整理した情報は、財産目録として一覧にしておくと管理しやすくなります。財産目録には、預貯金、不動産、株式、投資信託、生命保険、その他の財産、借入金などをまとめます。金額は将来変わるため、毎回完璧な金額に更新する必要はありません。まずは、何を持っているのかを把握できる状態にすることが重要です。

財産を一覧にまとめる段階では、財産目録の書き方もあわせて確認しておくとスムーズです。

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相続税がかかりそうか確認する

財産の全体像がわかったら、相続税が発生する可能性を確認します。相続税の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
で計算します。たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、基礎控除額は4,800万円です。参考:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」

ただし、預金残高を単純に合計するだけでは正確な判断ができない場合があります。土地などは相続税上の評価方法で評価する必要があり、一定の生命保険金や生前贈与された財産なども相続税の計算に関係することがあります。そのため、最初は「相続税が発生する可能性が高いか低いか」という目安を把握するところから始めましょう。

誰に何を残したいか親の希望を確認する

財産と相続税の目安が見えてきたら、誰に何を残したいのかを考えます。たとえば、配偶者に自宅を残したい、長男に事業用財産を引き継いでほしい、子ども2人にはできるだけ公平に残したい、孫にも財産を残したい、といった希望があります。ここで重要なのは、子ども側だけで決めないことです。財産は親本人のものなので、まず本人の希望を確認したうえで、将来問題になりそうな点がないかを整理しましょう。

遺言書が必要か考える

財産の分け方について具体的な希望がある場合には、遺言書の作成を検討します。特に、不動産など分けにくい財産がある、相続人が複数いる、法定相続分とは異なる分け方を希望している、相続人以外にも財産を残したい、子どもがいない夫婦、家族関係が複雑といった場合には、遺言書について早めに考えておく意味があります。

自筆証書遺言には民法上の方式があり、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用することもできます。ただし、法務局で保管したからといって遺言内容そのものの法的有効性が保証されるわけではないため、内容に不安がある場合は専門家への相談を検討しましょう。

エンディングノートを作る

遺言書とは別に、エンディングノートを作っておく方法もあります。エンディングノートには、財産についての情報、家族へのメッセージ、医療・介護についての希望、葬儀やお墓についての希望、各種契約やサービスの情報などを整理できます。ただし、エンディングノートは一般に遺言書と同じ法的効力を持つものではありません。財産を誰に相続させるかについて法的な意思を残したい場合には、法律上の要件を満たした遺言書を検討する必要があります。エンディングノートと遺言書は、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

生前贈与は財産全体を確認してから考える

相続準備を始めると、「子どもへ毎年贈与した方がいいのでは?」と考えることもあるでしょう。しかし、生前贈与は最初に行うべき準備とは限りません。まず、親自身の老後資金、今後の医療・介護費、相続財産全体、将来の相続税、財産を受け取る人などを確認することが重要です。

暦年課税による贈与については、2024年1月1日以後の贈与から、相続税の課税価格へ加算される期間が段階的に7年へ延長されています。そのため、毎年110万円以下なら相続税とは関係ないと単純に考えないようにしましょう。

認知症になる前に財産管理について考える

親が高齢になってきた場合には、認知症などによって将来判断能力が低下した場合の財産管理についても考えておく必要があります。判断能力が十分にある段階であれば、任意後見や家族信託などについて検討できる場合があります。一方、すでに判断能力が低下している場合には利用できる制度や手続きが異なります。制度ごとに法律上の要件やメリット・デメリットがあるため、必要な場合には弁護士や司法書士などの専門家へ相談しましょう。

親の認知症が気になり始めた方は、判断能力が低下する前にできる準備も確認しておきましょう。

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家族で相続の話をするときのポイント

相続準備では、制度以上に難しいのが家族とのコミュニケーションです。突然、「財産はいくらあるの?」「遺言を書いておいて」と聞けば、親が不快に感じることもあります。相続のためだけではなく、親自身が今後困らないようにするための整理として話を始めると進めやすくなります。

家族で相続の話をするときは今後のための整理から始め、一度ですべてを決めず少しずつ進めることを示す図

「相続」ではなく「今後のための整理」から始める

最初は、「何かあったときに困らないように、銀行や保険だけ教えておいて」「入院や災害のときにも必要になるから、重要な書類の場所だけ整理しよう」など、日常の財産管理から始める方法があります。相続だけを目的にすると話しにくくても、親自身が困らないための整理と考えると話しやすくなります。

一度ですべて決めようとしない

相続準備は、一度の家族会議ですべて決める必要はありません。最初は銀行口座、次は不動産、その次に保険というように、少しずつ進めても構いません。相続は将来の話だからこそ、無理なく継続できる方法を選ぶことが大切です。

そうぞくん生前対策なら相続準備を順番に進められる

親が元気なうちの相続準備で困りやすいのは、何を確認したらいいのかわからないということです。そうぞくん生前対策では、家族や財産の情報を一つずつ入力しながら、今後の相続に必要な情報を整理できます。

家族・財産を整理する

まず、家族構成や預貯金、不動産などの財産を整理します。頭の中だけで管理するのではなく、情報として整理することで、「確認できている財産」と「まだ確認できていない財産」を把握しやすくなります。

相続税の目安を確認する

家族構成と財産を整理したら、将来の相続税額の目安を確認します。相続税が発生しそうなのかを知ることで、「今のままでよいのか」「何か準備した方がよいのか」を考える材料になります。

必要な生前対策を整理する

そうぞくんでは、入力した情報をもとにAIを活用し、検討できる対策の方向性を整理できます。ただし、個別具体的な税務・法律上の判断が必要な場合は、税理士や弁護士などの専門家への確認が必要です。

遺言書・財産目録・エンディングノートにつなげる

整理した家族や財産の情報をもとに、財産目録やエンディングノート、遺言書の作成に必要な情報整理へつなげることができます。相続税の確認だけで終わらせず、実際の相続準備まで順番に進められる点が特徴です。

相続準備チェックリスト

  • 家族構成を確認する
  • 預貯金を整理する
  • 不動産を整理する
  • 株式・投資信託を整理する
  • 生命保険を確認する
  • 借入金を確認する
  • 財産目録を作る
  • 相続税がかかりそうか確認する
  • 誰に何を残したいか話す
  • 遺言書が必要か考える
  • エンディングノートを作る
  • 生前贈与などの対策が必要か検討する
  • 判断能力が低下した場合の財産管理を考える
  • 重要書類の保管場所を家族に伝える
  • 定期的に内容を見直す

すべてを一度に終わらせる必要はありません。確認できる項目から一つずつ進めていきましょう。

まとめ|相続準備は財産を渡す前に「把握する」ことから始めよう

親が元気なうちの相続準備で大切なのは、いきなり生前贈与や節税対策を始めることではありません。基本的には、家族を知る→財産を知る→相続税の目安を知る→親の希望を確認する→必要な対策を考えるという順番で進めます。

財産を把握した結果、特別な対策が必要ないこともあります。反対に、相続税、遺産分割、納税資金、認知症など、早めに考えた方がよい問題が見つかることもあります。重要なのは、「相続が発生してから考える」のではなく、親が自分で考えられるうちに準備しておくことです。

そうぞくん生前対策では、家族と財産の整理から、相続税の目安確認、財産目録・エンディングノート・遺言書作成に必要な情報整理まで、相続準備を少しずつ進められます。まずは、親が利用している銀行を一つ確認するところからでも構いません。今できることから、相続の準備を始めてみましょう。

この記事を書いた人
白井 佑弥 公認会計士・税理士

大学卒業後、有限責任監査法人トーマツで約7年勤務したのち、2017年に独立開業。
税理士 / 公認会計士
白井佑弥公認会計士・税理士事務所 代表
日本公認会計士協会東京会 業務委員会委員
経済産業省認定 経営革新等支援機関

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