相続財産の多くが不動産である場合や、相続人ごとに公平な分割が難しい場合には「代償分割」という分割方法が使われます。しかし、税務上のリスクや代償金の負担など注意すべき点もあります。
本記事では、代償分割の仕組みやメリット・デメリット、遺産分割協議書への記載方法、作成時の注意点について詳しく解説します。
代償分割とは?
代償分割とは、相続財産の一部を特定の相続人が取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払う分割方法です。特に、不動産や事業資産など分割が難しい財産を相続する際に利用されます。
代償分割のメリット・デメリットとは?
こちらの記事を参考にしてください。
代償分割の流れ
相続財産の把握
相続財産を洗い出し、分割の対象となる資産を明確にします。
代償分割の合意
相続人全員で協議し、誰がどの財産を取得し、代償金の額をいくらにするかを決めます。
代償金の決定
代償金は、以下の価格を基準に決定します。
- 相続税評価額(公示価格の80%程度)
- 固定資産税評価額(公示価格の70%程度)
- 公示価格(市場価格の基準となる価格)
- 実勢価格(取引事例を反映した価格)
遺産分割協議書の作成
代償分割の内容を明記した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。
代償金の支払いと名義変更
遺産分割協議書の内容に従い、代償金の支払いや不動産の名義変更を行います。
遺産分割協議書への記載事項
代償分割を行う際は、遺産分割協議書に以下の内容を明記する必要があります。
代償金の金額と支払い方法
- 支払額:「○○万円を代償金として支払う」
- 支払い方法:「指定の銀行口座へ振込」または「現金で支払う」
- 支払い回数:「一括払い」または「分割払い(分割回数・期間を明記)」
代償金の支払い期限
- 期限を明記:「○年○月○日までに支払う」
- 遅延時の対応:「期限を過ぎた場合は年○%の遅延損害金を付加する」
代償財産の明記
- 不動産を代償財産とする場合:「東京都○○区○丁目○番の不動産を代償財産とする」
- 代償金の振込口座を明記:「受取人名義:○○銀行○○支店普通○○○○○○」
遺産分割協議書の作成における注意点
贈与税に注意
遺産分割協議書に代償分割の記載がないと、代償金の支払いが贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。必ず「代償分割として代償金を支払う」旨を明記しましょう。
相続税評価額と時価の差額に注意
不動産の評価額は「相続税評価額」「公示価格」「実勢価格」など異なる基準があり、相続人間で意見が分かれやすい部分です。トラブルを防ぐため、適正な評価基準を決めておきましょう。
代償分割の事例
事例①:自宅を相続するケース
長男が親と同居しており、自宅を相続したい場合、代償分割を活用することで自宅を売却せずに済みます。長男が代償金を次男へ支払い、兄弟間で公平な分割が可能になります。
事例②:事業承継をスムーズに行うケース
自社株を後継者である長男が取得し、他の相続人へ代償金を支払うことで、事業を円滑に承継できます。
まとめ|代償分割は専門家への相談もおすすめ
代償分割は、不動産や事業用資産の相続において有効な手段ですが、代償金の決定や税務リスクに注意が必要です。適切な遺産分割協議書の作成とスムーズな相続のためには、税理士・弁護士などの専門家へ相談することもおすすめです。
相続手続きを円滑に進めるため、事前にしっかりと準備を進めましょう。
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