相続手続き

相続税申告を自分でやるか税理士に頼むか|判断基準と相談すべきケースを解説

相続税申告は自分でできる?税理士に依頼すべきケースを解説 相続手続き

相続税申告が必要になったとき、「自分で申告できるのか」「税理士に頼んだ方がよいのか」で迷う方は少なくありません。

相続税申告は、相続人自身で行うこともできます。ただし、すべての相続で自分での申告が向いているわけではありません。財産の内容、相続人の人数、特例の有無、申告期限までの残り時間によって、難易度は大きく変わります。

この記事では、相続税申告を自分で進められるか判断するためのチェックポイントを解説します。具体的な申告手続きの流れは、別記事で詳しく解説しているため、この記事では「自分でやるか、専門家に相談するか」の判断に絞って説明します。

相続税申告を自分で行う方法|無料で申告書作成する流れ・必要書類・注意点を解説
相続税申告が必要になったとき、「税理士に依頼せず、自分で申告できないか」「一人で申告手続きを進める方法はないか」「無料で相続税申告書を作成できないか」と考える方は少なくありません。結論として、相続税申告は自分で行うことも可能です。ただし、相…
この記事でわかること

・相続税申告を自分でできる可能性が高いケース
・一人で進めるのが難しいケース
・専門家に相談した方がよい判断基準
・自分で申告するメリットと注意点
・無料サービスを使って申告書作成を試す流れ

相続税申告は自分でできる?

相続税申告は、必ず税理士に依頼しなければならない手続きではありません。相続人自身が必要書類を集め、財産を評価し、申告書を作成して税務署へ提出することも可能です。

一方で、相続税申告では、財産の評価、控除や特例の判断、遺産分割の内容、申告書の記載内容などを総合的に確認する必要があります。

国税庁でも、相続税の一般的な計算は、各人の課税価格を計算し、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き、法定相続分に応じた相続税の総額を計算したうえで、各人の取得割合に応じて税額を割り振る流れとされています。
国税庁|No.4152 相続税の計算

そのため、自分で申告できるかどうかは、「相続税申告が法律上できるか」ではなく、「自分の相続内容で正しく進められるか」で判断することが重要です。

自分で相続税申告をしやすいケース

次のようなケースでは、自分で相続税申告を進めやすい可能性があります。

相続税申告を自分で進めやすいケースを整理した図
  • 相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまっている
  • 財産の中心が現金や預金、上場株式などの時価のある金融資産である
  • 土地や非上場株式など、評価が難しい財産が少ない
  • 相続税申告を自分で行うか、税理士に頼むか迷っている方向けに、判断基準を解説します。自分で進めやすいケース、専門家に相談すべきケース、申告時のリスク、費用を抑えて申告する方法、無料サービスの活用まで分かりやすく整理します
  • 申告期限までに十分な時間が残っている
  • 特例や控除の適用関係が複雑ではない

特に、財産が預金中心で、相続人同士の合意もできている場合は、自分で申告を進めやすいケースといえます。

ただし、預金だけに見える場合でも、名義預金、過去の生前贈与、生命保険金、葬式費用、未払税金などを見落とすと、申告漏れにつながる可能性があります。自分で進める場合でも、財産調査と資料確認は丁寧に行いましょう。

自分で進めるのが難しいケース

次のようなケースでは、自分だけで相続税申告を進めるのが難しくなる可能性があります。

  • 土地の形状、接道、利用状況が複雑である
  • 非上場株式や事業用財産がある
  • 海外財産がある
  • 相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまっていない
  • 小規模宅地等の特例の適用判断が難しい
  • 配偶者の税額軽減を使うが二次相続の影響も気になる
  • 過去に多額の生前贈与がある
  • 申告期限まで時間がほとんどない

特に、土地評価は相続税申告の中でも難易度が高い項目です。路線価方式か倍率方式かを確認するだけでなく、土地の形状、奥行、間口、利用状況、貸付状況などによって評価額が変わることがあります。

また、小規模宅地等の特例は、要件を満たせば土地の評価額を大きく減額できる一方で、適用可否の判断や添付書類の確認が必要です。国税庁では、特定居住用宅地等に該当する場合、330㎡まで80%減額できることがあると説明されています。
国税庁|No.4124 小規模宅地等の特例

判断に迷う場合は、最初からすべてを専門家に依頼するのではなく、自分で整理できる部分まで進めたうえで、難しい部分だけ相談する方法もあります。

自分でできるか判断するチェックリスト

相続税申告を自分で進めるか迷う場合は、次のチェックリストで確認してみましょう。

相続税申告を自分でできるか確認するチェックリスト図
確認項目自分で進めやすい状態専門家相談を検討したい状態
相続人人数が少なく、関係も明確相続人が多い、代襲相続や養子がいる
遺産分割話し合いがまとまっている意見が分かれている、協議が進まない
財産預金、上場株式、一般的な自宅が中心複雑な土地、非上場株式、海外財産がある
特例使う制度が明確で資料もそろっている小規模宅地等の特例や配偶者控除の判断に迷う
期限申告期限まで余裕がある申告期限まで残り時間が少ない
作業時間平日に役所や金融機関へ行く時間がある書類取得や確認に時間を取れない

上の表で「専門家相談を検討したい状態」に多く当てはまる場合は、税理士などへの相談を検討した方が安心です。

自分で相続税申告をするメリット

自分で相続税申告をする主なメリットは、費用を抑えやすいことです。

相続税申告を自分で行うメリットと注意点を比較した図

税理士に依頼する場合、財産の内容や規模によって報酬が発生します。自分で申告書を作成できれば、その費用を抑えられる可能性があります。

また、自分で財産や相続人の情報を整理することで、相続内容を把握しやすくなる点もメリットです。将来、二次相続や不動産売却、名義変更などを考える際にも、整理した情報が役立つことがあります。

一方で、申告漏れや評価誤りがあると、後から加算税や延滞税がかかる可能性があります。国税庁でも、期限までに申告しなかった場合や、実際に取得した財産より少ない額で申告した場合には、加算税や延滞税がかかる場合があると説明されています。
国税庁|No.4205 相続税の申告と納税

税理士に相談した方がよいケース

次のような場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

相続税申告で税理士に相談した方がよいケースを整理した図
  • 土地の評価額が大きい
  • 不整形地、私道、貸地、貸家建付地などがある
  • 小規模宅地等の特例を使えるか判断できない
  • 配偶者が多くの財産を取得する予定で、二次相続の影響が気になる
  • 相続人同士で意見がまとまらない
  • 税務調査や申告漏れが不安である
  • 申告期限まで時間がない

専門家に相談する場合でも、事前に財産の一覧、相続人の情報、通帳や残高証明書、不動産資料などを整理しておくと、相談がスムーズになります。

税理士に依頼するかどうか迷う方は、税理士に相談するメリットや費用の目安を解説した以下の記事も確認してください。

相続税は誰に相談する?税理士に依頼するメリットと選び方を解説
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無料サービスを使って自分で申告できるか試してみましょう

自分で申告できるか迷う場合は、まず無料で申告書作成の流れを試してみるのも一つの方法です。

そうぞくんでは、相続人、財産、債務、葬式費用、遺産分割、控除などの情報を入力しながら、相続税申告書の作成を進めることができます。

最初から「自分で完全に申告する」と決める必要はありません。まずは入力できる情報を整理し、どこでつまずくかを確認することで、自分で進められる範囲と専門家に相談すべき範囲が見えやすくなります。

具体的な使い方は、以下の記事で解説しています。

そうぞくんの使い方|無料で相続税申告書を作成する流れをわかりやすく解説
相続税の申告は、多くの人にとって一生に一度経験するかどうかの出来事です。そのため相続税申告を自分で進めたいと思っても、「何から入力すればよいのか」「必要書類をどの順番で集めればよいのか」「申告書の作成まで本当に一人で進められるのか」と不安に…

まとめ:自分でできるかは財産の複雑さと期限で判断する

相続税申告は自分で行うこともできます。しかし、財産の内容や相続人の状況によって難易度が大きく変わります。

預金中心で相続人同士の話し合いがまとまっており、申告期限まで余裕がある場合は、自分で申告を進めやすい可能性があります。一方で、複雑な土地、非上場株式、相続人間の争い、特例の判断がある場合は、専門家に相談した方が安心です。

そうぞくんで相続税申告を自分でできるか無料確認する流れを示した図

相続税申告全体の流れを確認したい方は、以下の記事を参考にしてください。

相続税申告を自分で行う方法|無料で申告書作成する流れ・必要書類・注意点を解説
相続税申告が必要になったとき、「税理士に依頼せず、自分で申告できないか」「一人で申告手続きを進める方法はないか」「無料で相続税申告書を作成できないか」と考える方は少なくありません。結論として、相続税申告は自分で行うことも可能です。ただし、相…

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この記事を書いた人
白井 佑弥 公認会計士・税理士

大学卒業後、有限責任監査法人トーマツで約7年勤務したのち、2017年に独立開業。
税理士 / 公認会計士
白井佑弥公認会計士・税理士事務所 代表
日本公認会計士協会東京会 業務委員会委員
経済産業省認定 経営革新等支援機関

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