相続が発生すると、死亡届の提出、葬儀、年金の手続きなど、遺族は多くの対応に追われることになります。そして、四十九日を終えた後には、被相続人(亡くなった人)の遺産にかかる相続税について考える必要が出てきます。
しかし、相続税の計算や申告を自分で行うのは難しく、誰に相談すればよいのか分からないという方も多いでしょう。
この記事では、相続税の相談を税理士にするメリットや、税理士の選び方、費用の目安についてわかりやすく解説していきます。
相続税について税理士に相談するメリット
相続が発生した際、誰に相談すればよいのか迷う方も多いでしょう。例えば、弁護士や司法書士など専門家への相談を検討する方もいるかもしれません。
しかし、相続税が発生するかどうかの判断や、相続税申告をスムーズに進めるためには、まず第一に税理士に相談した方がいいでしょう。
相続税がかかるかどうかを判断してもらえる
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。そのため、早めに遺産分割協議を進める必要があります。
税理士に相談すれば、相続税の申告義務があるかどうかを判断してもらえるため、無駄な手続きを省けます。さらに、相続税専門の税理士であれば、司法書士や弁護士の紹介も可能なため、必要に応じた手続きをスムーズに進められます。
相続手続きの窓口になってもらえる
相続には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得、金融機関の手続きなど、時間と手間がかかる手続きが多く含まれます。
仕事や育児、介護で忙しい方は、これらを税理士に依頼することで負担を軽減できるため、効率的に手続きを進めることが可能です。
相続税の申告を依頼できる
相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に行う必要があります。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生し、余計な税負担がかかる可能性があります。
所得税の確定申告と同様に、自分で申告することもできますが、相続税の計算方法は複雑で、必要な書類も膨大です。税理士に依頼することで、正確かつスムーズに申告が進められます。
税務調査への対応をサポートしてもらえる
相続税申告書には税理士の署名欄があり、税理士が署名した申告書の場合、税務調査は基本的に税理士が対応します。
税務調査が入る際は、税理士に事前のレクチャーを受けられるため、どのように対応すればよいかのアドバイスを受けられます。また、調査当日は税理士が同席し、その後の対応も任せられるため、精神的・時間的な負担を軽減できるのが大きなメリットです。
二次相続を見据えたアドバイスが受けられる
一次相続(配偶者が相続)後に、配偶者が亡くなった際の相続を「二次相続」といいます。二次相続では、以下のような問題が発生しやすくなります。
- 相続税の負担が増加する
- 相続人間のトラブルが発生しやすい
相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)がありますが、二次相続では法定相続人が最低でも1人減るため、基礎控除額が下がり、税額が増える傾向にあります。
また、一次相続の際は親の存命中で子ども同士の争いが起こりにくいですが、二次相続では、親が亡くなった途端に子ども同士の遺産分割でもめるケースも少なくありません。
税理士に相談すれば、一次相続の時点で、子どもにある程度の財産を相続させることで、二次相続の負担を減らすといった対策をアドバイスしてもらえます。
相続税対策を適切に進めるためにも、税理士のサポートを活用するのがおすすめです。
相続税について相談する税理士の選び方
税理士は税金の専門家ですが、相続税に詳しい税理士は限られています。
たとえば、所得税の確定申告を依頼している税理士がいても、相続税の申告は専門知識が必要なため、別の税理士に依頼した方がよいケースもあります。
相続税について相談する際は、以下のポイントを押さえて税理士を選ぶことが重要です。
相続税専門の税理士事務所を選ぶ
税理士の多くは法人の確定申告などを主に扱っており、相続税の申告経験が少ない税理士もいます。
相続税を相談する際は、相続税専門の税理士事務所であるかを必ず確認しましょう。
相続税の申告実績が豊富であること
相続税の申告実績が多い税理士は、これまでの経験から間違いやすい点を把握しており、適切なアドバイスができるため、申告手続きがスムーズに進みます。
特に、相続税の課税額は、財産の評価額によって決まります。
そのため、相続財産の評価には、国税庁の評価基準があるものの、未上場株式や土地などは個別の条件によって評価額が変わるため、財産評価に差が出る傾向があります。
財産評価に詳しい税理士であれば、評価額の減額や控除を活用し、財産の評価額を適正に引き下げることができます。
依頼者の要望をしっかり聞いてくれる
税理士を選ぶ際は、依頼者の要望をしっかり聞いてくれるかどうかも重要なポイントです。
相続税対策として最適な方法を提案することは大切ですが、依頼者の希望を無視して強引に進めるような税理士では困ります。
例えば、遺産の分割について相続人の希望があるにもかかわらず、税金対策を優先しすぎて希望とは異なる方法を押し付けられると、相続人同士のトラブルにつながることもあります。
相続税申告の費用が明確であること
相続税申告の報酬額は、相続財産の種類や評価額、相続人の人数などによって異なります。
一般的に、以下の要因で作業量が変わるため、料金体系は複雑になりがちです。
相続人が増えると手続きの手間が増加
株式や土地など評価が必要な財産がある場合
申告期限が迫っている場合
そのため、料金体系をホームページなどで公表している税理士を選び、事前に見積もりを確認できるかどうかをチェックしましょう。
相続時の税理士費用についてはこちらの記事を参考にしてください。
他の士業と連携していること
相続には、税理士だけでなく、司法書士や弁護士などの他の専門家のサポートが必要な場合もあります。
- 不動産の相続登記→司法書士が対応
- 遺産分割のトラブル対応→弁護士が対応
税理士が他の士業と連携していれば、相続人自身が別の専門家を探す手間を省けるため、時間や費用の負担を軽減できます。
相続税の相談をする際は、他の士業と連携しているかどうかも確認するとよいでしょう。
書面添付制度を活用してくれること
書面添付制度とは、税理士が相続税申告書を提出する際に、どのような項目を確認し、どのように評価したのかを記載した書類を添付する制度です。
この書面を添付すると、税務署は税務調査の前に税理士へ意見聴取を行い、その結果、税務調査が不要と判断されることがあります。
つまり、税務調査の可能性を低くできるため、納税者にとって大きなメリットがあります。
ただし、書面添付制度を利用するには、税理士が責任を持って正確な申告を行う必要があるため、対応している税理士と対応していない税理士がいます。
相続税申告に自信のある税理士は、書面添付制度を積極的に活用しているため、事前に対応可否を確認しましょう。
【参考】日本税理士会連合会サイト
税理士の他に相続について相談できる専門家
相続手続きを専門家に依頼する際、どの専門家がどの手続きを担当するのか分からず、迷ってしまうケースがよくあります。
適切な専門家を選ばないと、時間や労力が無駄になってしまうため、税理士以外の専門家が対応できる業務を理解しておくことが重要です。
弁護士:相続トラブルの解決をサポート
弁護士は紛争解決の専門家であるため、以下のような状況で相談するとよいでしょう。
- 遺産分割協議がまとまらない
- 遺留分が侵害されている(遺言や遺贈で遺留分を超える遺産が他の相続人に渡ってしまった場合)
- 想定外の相続人が判明した(被相続人に認知していた子がいた場合など)
- 一部の相続人が遺産を使い込んでいる
司法書士:相続登記の専門家
司法書士は、不動産の登記手続きを専門とする士業で、以下のような状況で相談するとよいでしょう。
特に、相続財産に不動産が含まれている場合、相続登記(不動産の名義変更)を司法書士に依頼できます。
- 相続登記の申請(不動産の名義変更)
- 相続人や相続財産の調査
- 遺産分割協議書の作成
- 遺言執行者としての業務
行政書士:書類作成の専門家
行政書士は、各種書類の作成や収集を専門とする士業で、以下のような状況で相談するとよいでしょう。
- 相続人や相続財産の調査
- 遺産分割協議書や相続関係図の作成
- 自動車の名義変更
相続手続きをスムーズに進めるためには、状況に応じて適切な専門家に相談することが重要です。
自分で相続税の申告を検討している方
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入力フォームに沿ってわかりやすい質問に必要な情報(被相続人・相続人・相続財産等の情報)を入力するだけで、知識がなくても簡単に相続税申告書を作成することができます。
出力された申告書はプリントアウトして税務署に提出可能です。
必要に応じて、税理士や弁護士、司法書士、不動産鑑定士に相談も可能です。
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迷っている方は、こちらの記事を参考にしてください。
おわりに
相続が発生したら、まず税理士に相談し、相続税の申告が必要かどうかを判断してもらうことを検討しましょう。
特に、相続に強い税理士に依頼した方が安心かもしれません。
また、必ず複数の税理士に見積を依頼し、相見積を取ることが重要です。
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